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ターラントからレッチェ、十字軍の拠点都市バーリまで |
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ターラントは、この地方の代表的漁港をもつ大きな町であるが、旧市街の町の中に入り込むと、ナポリの満艦飾と同じように、洗濯物を干す建物と建物の間の路地を歩くことになる。一目瞭然にして貧しいことがうかがわれるが、それだけに生活の痛みが分かり合える共同体のようなものが感じられ、とても心やすい土地柄である。貧しい街であっても、小さなレストランの食卓にはきちんとテーブルクロスが敷かれてあり、ラテンの国らしく食事を大切にしている感じがあって、ほほえましい。
元来ターラントの町はシチリアのシラクーザに次いでギリシャの植民都市として数十万の人口を抱える町であったと聞くが、今は旧市街を見る限りでは、盛時の華やかさは見られない。点在するビザンチンの影響を受けたと思われる町並みは寂寥に満ちて、南イタリアの貧困をかいま見る思いである。プーリア州はイタリアのかかと、アキレスのかかと(最も弱い経済を持つ地域)と呼ばれ続けてきたのであるそれ故に、打ち捨てられた海辺の未利用地が多くあったが、その部分に1970年頃から製鉄所や化学コンビナートが形成され、状況が一変してきており、トリエステからヴェニスの玄関メストレに至るまでの間のコンビナートや、リヴォルノ近辺の工業地帯をも上回る規模になっている。このためこの地域の変貌は著しく、湾に架かる橋を隔てて、新市街地が立派に整備されていて見違えるようであった。今やギリシャの植民地時代を凌ぐかと思われる数十万人口の近代都市が形成されているのである。町には、立派なショーウィンドーがあり、道路が碁盤の目のように区画され、きれいな町並みになっている。日本からは技術提携のエンジニアなど、かなり多くの人が滞在しているとの印象を受けた。ただし、区画された新都市は、どこでも皆同じように何日か滞在すると、飽きが生じてくる。これから述べるプーリア州のバーリの町にしても、立派なバロックの町ピエモンテ州のトリノにしてもそうだが、生活しやすい立派な町であっても、旅をするものにとっては面白みに欠け、つまらないと感じる側面があることは否めない。
地中海のラビリンスすなわち迷宮都市という言葉がある。この地中海沿岸の風景では、山や坂が多い地形を利用して、無数に曲がりくねったり段差や行き止まりがあったりの建物や町並みが似合っていて味わいをもたらしてくれる。まさしく地中海沿岸にはラビリンスの迷路じみた、幾重にも重なり合った町並みが似合うのである。
前述のターラントの新市街とは違ってレッチェの町は、縦走する町並みと迷路のような町並みで混沌としているようでいながら、気品のある飽きの来ない、この地方きっての香り高い文化が感じられて、また行きたい町である。
ローマから始まるアッピア街道終点の町ブリンディシは、歴史を感じさせる重厚な石畳の町である。かつてはバーリと並んで十字軍の基地であり、エルサレム巡礼への出発点でもあったこの町は、今は寂れて静かである。この港からギリシャのパトラスの港まで20時間近くかけてフェリーで渡ったことがあるが、ユーレールパスが使えるのでイタリアからギリシャへの旅には便利な港町である。
マ−ナポリ間は車で走っても面白みがないので、電車での移動が良い。
地中海太郎
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