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  閑話休題
マフィアの犯人が護送される現場に出くわしたことがある。それは1993年と思うが、サルデーニャのカリアリ空港からシチリアのパレルモに夕方到着する便に乗ったときのことである。カリアリの空港は小さく、飛行機もタラップを登って搭乗するのである。パトカーが6〜7台、例のランプを点滅させて飛行機の後部を取り囲んでいた。

その時、スポーツ用のトレーニングパンツとシャツを着たマフィアの囚人と思われる三人が前手錠をはめられて、警官十数名のものものしい警護に守られて後部のタラップから乗り込んだのである。その後に私は前部の搭乗口から乗り込み着席したのだが、あまりのものものしさに驚いた。犯人だろうマフィアを取り囲んで後部と前部そして側面にびっしり警官が張り付き、これ以上ない警護ぶりであった。前部は二列警官が着席していたように記憶している。

その時の機内にいる搭乗客は、またいつものことが始まったのかといった感じで、無関心を装っているように思えたが、機内では誰一人としてしわぶきひとつすることのない緊張感が漂っているように感じられた。100人乗りくらいの小さな機内のことである。私も意識しないような顔をしていたが、その実、最後部の護送が気になって仕方がなかったのである。

そのうち搭乗客の一人がトイレに立ったので、私も興味津々なので、小用をする必要などないのにトイレに立って、後部に歩いて行ったのである。警官の厳戒態勢のような視線の中で自分は何食わぬような顔をしてトイレに入ったが、その時見たマフィアの顔は、凶悪な顔には見えたが、映画で見るような格好良いものではない田舎の「おっさん」風の無教養な40代半ばの顔だった。カリアリの監房からパレルモに移送されたものであろう。

トレーナーのような着衣の彼らには哀れな哀愁が漂っていたのである。パレルモに到着した後、まず始めに彼らが機外に出て、しばらくしてから、搭乗客は解放されたのであるが、全員やれやれといった緊張から解放された安堵したような表情であった。思うにあれだけの厳重な護送だったので地元の搭乗客は、護送されている人物はかなりの大物であって、どのような事件を起こしていたのかについて知っていたに違いない。

このマフィアの重大犯人を裁く法廷がパレルモの多重に防護された檻の中で開廷されたことは報道によって知られているが,私の親戚である神洋明弁護士も弁護士会(当時日本弁護士会副会長)を代表して視察をしているが,とても厳重に警備された異様な雰囲気の法廷だったと聞いている。

地中海太郎

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