|
|
|
|
|
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
シチリアの風土と文化・マフィアなどの闇黒世界について |
 |
 |
 |
シチリアの風土と文化
シチリアはカラーブリア州のつま先に蹴られた石ころのような感じで、メッシーナ海峡を挟んで本土とは指呼の間にあり、ビザンチン、アテネ、カルタゴ、そしてバイキングなどの北方民族、そしてスペインの征服と圧制に苦しめられた過去を持ついわゆる文化の十字路ともいえる土地柄である。2月にはアーモンドの花が日本の桜のように美しく咲く暖かな土地柄である。人口の少なかった中世以前には、その人口を養うに足る豊かな島であったに違いない。スペインやビザンチン、カルタゴの征服者にとっては乾燥した大地は母国を思い起こさせる風土であり、ノルマン人などの北方の人々には、降り注ぐ太陽の恵みは憧れの大地でもあった。
それ故に、この四国ほどの小さな島にはカターニア、シラクーサ、アグリジェント、パレルモなどに見られるように、異質性が混在しており、限りない興味と旅情を満たしてくれる。
シラクーザはアルキメデスの生まれ住んだ土地でありアテネの植民都市で本家をも凌ぐ繁栄の時代を経験している。残された遺跡の数々は必見の価値がある。
タオルミーナのエトナ山は、火山で世界的に知られており、その裾野の秀麗なことと、周囲の海山とのコントラストは、我が国の富士山に匹敵する印象深い名山である。島のへそと呼ばれるエンナは鷹の巣の町と呼べる絶壁の上に発展しており、不思議な印象を与える。絶壁の上に町を作るということは、外敵の侵入を防ぐため、マラリアなどの疫病から身を守るため等、理由があるに違いない。
しかしこれらの歴史的な町シラクーザと保養地タオルミーナの間の海岸線にも近年重化学工業などが立地してきており、次第に様相が変わりつつある。シチリアと言えば、たいていの日本人はマフィアの島との認識があり、先に述べたようなことは、最近までイタリア通以外の人には知られる機会が少なかった。
マフィアなどの闇黒世界について
コーザノストラ(秘密を大事にする−オメルタ《沈黙》の掟を守るとして知られる)と呼ばれる組織は、暗黒街に君臨するマフィアとして世界的に良く知られているが、その形成の過程には誰もが納得せざるを得ない事情があったのである。
過去において東西南北の諸国から征服された歴史的事実によって、侵略者に対する対応策として、すなわち、彼ら独自の権益を保全するための組織として、コーザノストラいわゆるマフィアに至る道が開かれたのである。それは当然自警団的性格を持ち、外部からの侵略者に対しては違う言語で対抗した。この結果、組織構成内における結束はより強くなり、絶対的に秘密が守られる組織へと進化し、それが次第に変化して暗黒の組織の要素を持つに至ったと思われる。近世、人口が増えて、自国の人口を賄えなくなり、新天地アメリカへの移民が急増し、更に勢力を拡大したものと察せられる。シチリアからアメリカに移民したのは、一家の次男、三男たちが多かった。いわゆる実家から土地を相続できない人々が主であり、さらには、ましな教育も受けられずに口減らしで移民に加わったのである。当然の成り行きとして、一部の者は貧困の生活を生き抜くため、口の堅い特性を利用して、暗黒組織化していったものと想像する。
パレルモからおよそ30〜40Kmの場所にコルレオーネ村という場所がある。言わずと知れたゴッドファーザーの故郷として映画であまりにも有名であるが、ここではオリーブやアーモンドの木々が豊かに茂り、羊飼いがのんびりと牧羊に励んでいる。とてものんびり、ゆったりとした風景は、終生忘れ難い心地よい風景のひとつである。このような無垢な風景のように見える風土の内に、あの凶悪な組織の本家本元があるとはとても思えない。普段にはごく普通に生活しているあらゆる職業の人々の内に、密やかに堅く結ばれた凶悪組織の根源があるとは、にわかには信じがたい。
パレルモがマフィアの本拠地であり、ナポリにはカモッラといわれるならずものの集団があり、カターニアはカラーブリアの「ヌドランゲタ」と呼ばれるマフィアも黙ると言われる凶悪組織の活動拠点である。初めてカターニアを訪問したときは、不気味な感じで胸騒ぎがしたほどであったが、よほどのことがない限り(組織に害を与えない限り)、一般の生活には干渉しないので、慣れてくるとその印象は薄らいで気にならなくなる。これらの暗黒世界のことに関してはイタリアにとっての恥部ではあるがわれわれ旅行者に取っては無関心ではいられないので以下により知り得たことを書き綴る。
私は映画のゴッドファーザーが好きで、映画で流れる主題歌の持つ郷愁を誘うような旋律が大好きで。シチリアへわたるとき、また戻ったときも、その旋律に酔いしれて、トラットリアやホテルのサロンバーなどでもよくリクエストをしては雰囲気を楽しんだものだ。マフィアのふるさとといわれるコルレオーネ村にも二、三度ドライブしながら行っている。そのうちの一度は前述の藤田先生やら義姉などと2台の車で出かけ、レンタカーの故障で目前まで行ってUターンさせられたのである。
それはそれでなかなか得がたい時間を過ごしたのだった。その日は丁度日曜日だったのでレンタカーオフイスや修理工場などとの連絡がとりにくく、結局コルレオーネ村の入り口にあるバールに入りタクシーの手配がつくまでの3〜4時間に及ぶ待機時間を余儀なくされたのである。その間出入りする村人たちと談笑したり、アーチチョーク売りを冷やかしたりして、同時に注意深くマフィアの本家本元であることを意識しながら観察していたのである。
いずれにしてもコルレオーネ村周辺の牧歌的風景はシチリアを代表しているにようにおもえる。
旅行者として感じる雰囲気のどこにも、あの残酷な殺し方をする映画に見るマフィアの殺伐さはなく、牧歌的風景に満ちあふれている土地である。しかしながら、ここは紛れもないゴッドファーザーのふる里であり、この周辺には無数のシンパがさりげない暮らしを続けながらマフィアを構成していることは事実なのだ。
コルレオーネ村は、映画の ロケ地として格別に有名になったのであるが、マフィアの村はここだけにとどまらないのである。トラパニやマルサラ、エンナ、シャッカなど全シチリアにその組織は張り巡らされているのである。
前述したように、このシチリア島の歴史を振り返ってみれば、ギリシャの植民地都市がシラクーザやアグリジェントにその遺跡が今に残る形で始まり、フェニキア、カルタゴがそれに続き、次ぎにローマがそれらを破壊して、更にはノルマン人の侵略やビザンチンの侵略があって、中世以後は、スペインのアラゴンによって征服されている、あたかも少女が乱暴されるように屈辱されてきたのである。屈辱を与える者に対して自閉症のように自らの心を閉ざしたのは当然のことと理解される。さらに言葉の通じないこの侵略者の統治は、その上澄みをかすめ取るだけの政治が多く、シチリア住民のために心血を注いだ政治などなかったに違いない。
そのような状況の中でマフィアの組織は他の組織などに対して口の堅い組織として形成されてゆき、所属するファミリーには絶対服従し、他者には絶対に仲間内の秘密を打ち明けないなどと変化して、犯罪行為を行うに集団としての適性を備えていったもののように考えられる。ナポリから南では、物が盗られたりしたら、警察に頼むよりマフィアの組織に頼めば真相がすぐに判明し、解決が速いとされたようである。その上、マフィアの場合は、それぞれのファミリーを代表する長、すなわちゴッドファーザーと呼ばれる人達によるファミリー間の調整機関があり、利害の調整をしていたようである。
シチリアの次男、三男は二〇世紀に入って、大量に生活難民としてアメリカに移民したが、文字の読み書きもできない人達がほとんどであったため、移民先でも下積みの仕事にしかありつけなかったのである。そのような人達がシチリアの風土の中で培われた仲間を裏切らない、口が堅いといった性格をフルに悪用して次第に現在のマフィアの集団を形成していった。
悪人にも悪人なりの言い分はあると同様に、マフィアにも特徴のひとつとして(これはイタリア男の特質に関することと思うが)男伊達の美学なるものが存在する。まず、仲間の妻を盗む者は死によって報われる。また売春などで営利を上げるものは男子の風上にも置けないとして、これも死によって償わされる。このような掟があるようである。
したがって、マフィアの構成員になるときも、近親の者に売春をする女性がいるかどうか厳しく調べられ、もしそのような婦人が一人でもいれば、マフィアの構成員になれないとされているようだ。売春はマフィアにとって人間の尊厳を犯すものとして殺人よりもはるかに罪悪とされているのだ。そういえば、パレルモやカターニャそしてナポリなどの夜の散歩でそのような女性から声をかけられた記憶はない。
マフィアは初期の頃は、麻薬は扱わなかったようだが、抗争がエスカレートして、組織同志で殺し合うようになって、手っ取り早く金になる仕事なら何でもする組織へと変化し、現在では世界中の麻薬元売り販売の組織へと変わってきているようである。
マフィアは本籍がシチリアであっても、今はアメリカを主たる根拠地として、イタリアではそれほどではないということだが、派手にドンパチをしないかわりに、深く根付いており、その根絶に司法当局は躍起になっている。しかし、この司法当局者に対しても公然と殺戮を行っており、心あるイタリア人に負い目をおわせ続けているのである。
地中海太郎
|
|
 |
| 「イタリア情報あれこれ」のINDEXに戻る |
 |
|
|
|
| Copyright
(C) 2004 by chichukaifoods. All Rights Reserved. |
 |
※本ページをご覧いただくにはFlash Player プラグインが必要です。
またブラウザは「Microsoft Internet Explorer 6.x」以上を推奨します。 |
|