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イタリアを語る場合、南北の違いは避けて通れないテーマである。
ご存知のようにイタリアは南北に細長く、また東西は背骨を形成するアペニン山脈によって分断されている。このため、北と南では雰囲気がまったく違ったものになる。南のサルデーニャ島などは本土から隔絶された地にあって独自の文化圏を持ち、シチリアは、サラセンやノルマン、カルタゴ、ビザンチン文化が入り混じり、独自の風土を形成している。
ピエモンテ、アオスタ、ロンバルディアからパダーナ沃野を経てベニスに至る北イタリアでは、アルプス山脈が北に連なり、これが屏風の役目を果たして冷たい風を遮断している。そのため緯度の割に寒さはそれほど厳しくなく、山の懐が深いため豊かな農産物に満ちている。アルプスの雪解け水がポー川やその支流を潤し、パダナ平原を豊かにしている。この地域はイタリアの農産物の大半をまかなっている感じがあり、したがって、とても裕福に感じられる土地柄である。
これらの地域に住む人々は人柄が穏やかで、その食生活も非常に豊かである。季節には四季があり、情緒がある。いわゆる日本人が思い描く"陽気で調子のよいイタリア人"とはイメージがだいぶ異なる。北イタリアの人々と話してみると、南イタリアと自分たちを一緒にしてくれるなという強い主張があることに気づく。これはとても興味深いことである。
通常、日本人は南イタリアとはナポリ以南を指すと思っている。イタリア通の人でさえ、南イタリアとはローマ以南であると思っている。しかし、南イタリアとはトスカーナを除くボローニャ以南を指すと考えている北イタリア人は意外と多いのである。
私が何故に南と北のイタリアのことをこのように論ずるかというと、イタリアという国は確かに南と北とでは、経済的富裕度や気質の面で全く別の国であるといってもよい。風土が違うと当然ながら、食生活や生活慣習にも違いが生じてくる。
南イタリアは保水力に乏しいアペニン山脈の伏流水があるとしても、大地は乾燥しており、日差しが強すぎて、夏の灼熱の大地は農産物をはぐくむには厳しすぎる。特定の農産物以外は育てにくい土地柄である。灼熱の大地に降る雨は養分豊かな土壌を海に流してしまうのである。反面、厳しい環境で育った農産物は大地に深く根を張り、個性的な作物である場合が多い。プーリア州などでは平坦な土地は多いが日照が厳しいため深く大地に根ざす作物でなければ夏枯れを起こしてしまう。
アドリア海やテレニア海は漁獲が豊富であり、市場に出かけてみると、魚好きな日本人にはたまらないほど魚種が多い。しかしながら、水産業は零細であり、船団を組んで一大水産業を形成する力を持っていない。農業はオリーブを除いて恒常的な不作で明らかに北と比べて劣っている。
南では貧困を感じることが多い。このことは、教育水準ならびに食生活などにも著しい差となってあらわれている。も多く、特にバジリカータ州やカラーブリア州にはシチリアマフィア以上に恐れられている犯罪集団があり、北イタリアの人々から敬遠される原因にもなっている。しかしながら、気さくで陽気、しかも調子のよい南イタリアの人々は、我々日本人にとって親しみやすい。年中照りつづける太陽も魅力的で、いわゆるイタリアを感じさせてくれる場所であることに変わりはない。鮮度のよい魚介と、親しみやすいトマトソースのパスタなどは日本人を居心地よくさせてくれる。
明るい太陽の下に住む人々は、陽気で調子が良く、パフォーマンス豊かである。しかし、彼らは時としていい加減で信用できないと見られがちである。
元来イタリアは都市国家の集合体であることから前述したように郷土意識が非常に強い。そのことが縁故重視、贈収賄などにつながり、マフィアなどの遠因になっているという事実は否めないだろう。このパッチワークのようなイタリアという国は悪評限りないマフィア(コーザ・ノストラ)などのごく一部を除けば、陽気で親切、海山の景観に恵まれ、歴史の重みと相まって旅行者にとって限りない喜びと憧れを与え続けるであろう。
先ず始めに、アドリア海、エーゲ海を含む全地中海沿岸の印象を簡単に記述するが、この地域に旅行などを計画する場合の指針となり得るよう内容をまとめる。大筋で旅行先などを決めた後は、「地球の歩き方」などのガイドブックを利用すれば、的確に旅行計画が実施されるだろう。この本の全編を貫く地域はかってのローマ帝国によって支配された土地柄でもあり,そのような理由によってこの本の展開がイタリアをその中心にすえている点は否定できない。
まずイタリア本土を離れてシチリア島、サルデーニャ島、フランスのコルシカ島、スペインのマヨルカを含むバレアレス諸島などの地中海に浮かぶ島々を紹介する。次ぎに、地中海から少し外れるが、フランスのボルドーに近いバスク地方の海岸(カンタブリアの海岸)から大西洋岸をスペインの地中海沿岸地方に下ることにする。さらに地中海の北側キリスト教世界について記述し、トルコ、ビザンチンなど東地中海を経由して、南のイスラム、アラブ世界まで案内し、モロッコの古都に触れて第一部を終わることにする。すべての行程はレンタカーを利用して垣間見た印象だったり,多い地域で 5往復から 10往復に及んでその地の生活に触れた印象を書きつづり第1部を終わることにする。
地中海太郎
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