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イタリアとそれを取り巻く地中海世界 |
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イタリアを語ることは、同時に周辺を取りまく海洋とのつながりをぬきにしては考えられない。日本と同様に南北に長いこの国は、現在の交通事情からすれば大半の場所から1時間そこそこで海洋に出られるのである。トレンティーノやアオスタなどの海洋から遠い場所ですら高速道路で2時間も走れば海岸線に達する。
イタリアはかつて諸侯が割拠し、それぞれに独自の文化を持つ都市国家を形成していた。当時はたとえ現在の全国を網羅するような道路はあったとしても安易に各都市間を往来することは、政治的思惑もあって困難なことであった。そのような時代にあっては、海難のことを別にすれば、海洋を通じて交易を外に求める方が自然の成り行きだったのである。
東のベニスがコルフ島やクレタ島を足がかりにして遠くイスタンブールまで勢力を伸ばし、西のジェノヴァは地中海の制海権をめぐってベニスと覇を競った。ピサやアマルフィ王国はシチリアを経由して現在のチュニジアすなわちカルタゴや、エジプトのアレキサンドリアなどと頻繁に交易を行った。南のブリンディシは十字軍遠征の拠点として栄え、シチリアやサルデーニャについては、前者には当時のアテネ(ギリシャ)を凌ぐといわれたシラクーザの植民地があり、サルデーニャはギリシャの他にも長い間スペインの植民地に甘んじなければならなかった。
ナポリもまたそうである。今でもサルデニア島の中心都市カリアリから50キロ足らずの場所にプーラ又はノーラとよばれるギリシャ時代の遺跡が立派に残っており、そこに佇めば否応無しに往時がしのばれる、往時がしのばれる保存状態の良いものである.島の北側に位置する古都アルゲイロのまちでは今でもカタラン(スペインのカタロニア語)が通用しているとの事である。
このようなことを述べるのは、現在のイタリアについて考える時、かって各地に割拠した都市国家がそれぞれの交易ルールの違いによって独特の文化を発展させ、それが今日に及んでいるのだろう思うからである。言うなれば、ベニスによるイスタンブール進出、スペインのナポリ征服、バイキング族のノルマンや,神聖ローマ帝国のドイツ・ゲルマン族によるシチリア支配などを含めて多くの国々との往来が国の文化の形成に大きな影響を及ぼし、今日に至ってもそれぞれの地方色に顕著に反映されているように思われる。
長い歴史に培われた習慣などの違いは、それぞれの地域で独自性の高い個性的文化を形成し、当然、食生活にもダイレクトに反映され、独自の食文化を形成してきた。誰もが長い間慣れ親しんだ習慣や過去の歴史によって、それぞれの郷土愛を育んできたのである。良かれ悪しかれ、自分達の先祖の足跡については誰しもが肯定的に感ずるものであり、それぞれ誇りを持つのは当然である。郷土愛こそがすべての価値観の前におかれるものだと信じる。不合理な部分があったとしてもそのことをうんぬんする事は出来ない。
イタリア全土にわたる都市国家の性格はこれらの要素によって決定づけられてきており、国家のみならず、それぞれの地域社会や家庭の性格の形成に計り知れない影響を与えた。イタリアにはイタリア料理といわれる料理はないと言われる所以は、それぞれの地域の特性を生かした郷土料理が無数にあるからであろう。イタリア人がサッカーに熱狂するのもそれぞれの地域対抗の性格が反映されているからに他ならないと思う。言うなれば、各家庭のマンマ(母)の料理を自慢すると同じで、それぞれの地域に誇りを持つ者が、他者に負けるものか、また負けてはならないとする深層心理が反映されているからに他ならないと思うのだが,如何なものであろうか。
文化面におけるダ・ヴィンチやミケランジェロ、ガリレオなどについても、それぞれの個性を伸ばし独創性を追求した結果ではないだろうか。イタリアを知れば知るほどそのように思われる。
イタリアを取りまく地中海世界を紹介するにあたって、とりあえずイタリア本土、そしてシチリア、サルデーニャについて述べ、次ぎにイタリアに影響を及ぼしたスペインやカルタゴ、トルコ、エジプトなど周辺諸国について旅行の印象を通して述べる。次ぎに、イタリアとそれらの国々との交流を通じて、相互間にどのような文化的影響が残されたかについて若干触れてみたい。さらに、これらの地域を旅行するにあたって交通機関の状況やドライブ旅行をする際に必要な私なりの体験を記述して終えることにする。
地中海太郎
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